この記事では「がん」というものの基本的な知識をお伝えします。
- 「がん」はよく聞くけど、どういうものかわからない
- 「がん」と診断されたけど、医師の説明ではよくわからなかった
- 「がん」の治療法は色々あるけど、どうして自分はこの治療なのかわからない
ぜひこれらの疑問をお持ちの方はこの記事を読んでいただけると、「がん」のきほん的な知識が身に着くと思います。
2人に1人ががんになると言われている時代です。
今の子供世代が大人になる頃、医学はもちろん今より進んでおり、がんに対して色々な治療法ができていると思います。しかし、全てのがんが、根治可能になって、人類にとって恐れるに足りない存在になるにはまだまだ時間がかかるのが現実です。
がんについての最低限の知識は、これからの時代を生きる私たち・私たちの子供盛大にとって、ライフプランを考えていく上で必須の知識だと思いますので、ぜひこの記事をきっかけに学んでいきましょう!
「がん」って?
そもそも、「がん」とは何かということをまず説明します。
「がん」とは、①遺伝子の異常が積み重なり、②形や機能が異常な細胞が無秩序に増えていき、③体の中の免疫細胞がこれを退治できない状態を指します。これは、どのがん種でも基本的に一緒ですので、ぜひ知っておいてください。
より詳しく知りたい方は下のサイトなどを参考にして下さい。
がんは、その元になった細胞がどこにあるものなのか、ということで分類がされています。
肺にがんができた場合は肺がん、大腸にがんができた場合は大腸がんですね。これらの一般的によく聞く、消化管(胃や腸)や肺などに由来するがんのことを「固形癌」と言います。筋肉や骨に由来するがんのことは「肉腫」といいます。また、血液由来のことを専門用語では「造血器腫瘍」と言います。この造血器腫瘍の一つに、白血病という病気があります。
さて、ここからがいよいよ治療の話です。
がんに対する治療法
みなさんはがんに対して、どういう治療をご存知でしょうか?
知名度の高いであろう治療法から順に説明をしていきます。
「抗癌剤」「手術」
「抗がん剤、手術」この2つが一般的に一番知られているものだと思います。白血病を含む造血器腫瘍(血液のがん)では、手術という選択肢は登場しません。なぜなら、血液のがんですので、初めは骨髄の中だけにがん細胞がいても、症状が出て診断される頃には全身に広がっているからです(骨髄で作られた血液はそのまま血液に出ていきます)。手術が可能なのは、がん細胞がどこかの臓器の一箇所ないしは複数箇所でも手術で取り切れることが予測される固形癌・肉腫の場合のみです。
さて、「抗がん剤」はご存知の通りがん細胞を倒すことのできるある薬です。しかし残念ながら、万能ではありません。それは、①がん細胞のみを倒すのではなく、正常な細胞も攻撃してしまうため、副作用が起こるという点と、②抗がん剤が効きにくいがん細胞が混ざっていることがある ということです。
「分子標的薬」「免疫細胞療法」
この問題を解決するために、さらに新しい治療法が考えられました。冒頭で述べた「がん化」について思い出してください。「がん化」とは、①遺伝子の異常が積み重なり、②形や機能が異常な細胞が無秩序に増えていき、③体の中の免疫細胞がこれを退治できない状態のことを指しています。
この①に特徴的な遺伝子の異常がある場合、この遺伝子を標的にして治療を行う「分子標的療法」というものがあります。また、③についてですが、本来がん細胞は体の中で免疫細胞がやっつけてくれるはずの細胞ですが、がん細胞が免疫細胞から逃げる能力を獲得してしまっているために、がん細胞はどんどん増えています。そこで、免疫細胞を強くする、外から補充する治療というものも出てきています。これは2019年5月に承認されたキムリアと呼ばれる薬(正確には薬ではありませんが、薬事法の観点で薬ということになっているものです)などが代表的です。「免疫細胞療法」などと言われます。
これらの治療法はかなり実用が進んできていますが、それでもまだ適用(この治療がこの病気に対して効果があり、国が認可した状態)は限定的です。
「放射線療法」
また、「抗がん剤」と並んで、歴史的にも非常に重要な治療方法が「放射線療法」です。あまり一般的ではないですが、「手術」「抗癌剤」そして「放射線療法」は、実はがん治療の3本柱といっても過言ではないほど重要な治療法です。色々ながんに対して標準的な治療選択肢に入っています。
放射線も先ほどの抗がん剤と同じく、がん細胞を主に攻撃しますが、残念ながら正常な細胞も攻撃するという副作用があります。
「移植」
「移植」という治療ももしかしたら聞かれたことがあるかもしれません。これについては、①臓器移植 ②造血幹細胞移植 と大きく2つの移植があります。前者はある臓器(造血器以外)が何らかの原因で機能が保てなくなったために、どなたかから臓器を譲って頂くというものです。(※臓器移植はがんに対しての治療とイコールではありません。あくまで機能不全に陥った臓器の機能を補うために、他の方から臓器を頂くというものです)。
さて、後者の造血幹細胞移植は造血器腫瘍の方に使われることの多い治療法です。よく「骨髄移植」という名前でテレビやドラマで出ることもありますが、この「骨髄移植」は造血幹細胞移植の一つの選択肢です。悪性の造血器腫瘍だけではなく、良性の難治性血液疾患で使われることもあります。この造血幹細胞移植については、かなり複雑な話になりますので、また改めて解説をいたします。イメージとしては、造血器腫瘍に対しての最終手段、と思っていただいた方がよい治療法です。それは副作用の多さが他の治療とは比べ物にならないからです。
まとめ
がんを治療するには①抗がん剤 ②手術 ③放射線治療 ④分子標的薬 ⑤免疫細胞を強める治療 ⑥移植※ という6つの治療があります。がんの治療の基本は①~③で、この工夫によって、人類は少しずつがんを克服することができるようになってきています。そして④~⑥の出現によって、さらに治療のレベルが進んでいます。
この記事のポイント
※臓器移植はがんに対しての治療とイコールではありません。あくまで機能不全に陥った臓器の機能を補うために、他の方から臓器を頂くというものです。
「がん」を克服するのが21世紀の医学の大きな目標だと思います。そして再生医療など、今までは不可能と思われていた色々な治療が現実のものになりつつあります。医学は着実に進歩しており、このことも少しずつ、こちらでアップデートできればと考えています。
最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
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