薬多すぎ!!本当にいるの!?

健康と病気について

みなさんは普段、薬を飲んでいますか?
ご高齢であったり、持病をお持ちの場合、毎日のようにたくさんの薬を飲んでいる薬だけでおなかがいっぱいになるということもあると思います。

今日は薬が多くて困っているみなさんの悩みを解決する記事を書きました。
もしかしたら、実は不要な薬を飲み続けている、そんなこともあるかもしれません。最後まで読んでいただけると嬉しいです。

処方されている薬の種類

さて、早速ですがみなさんはこちらのグラフをみたことはありますか?

出典: 介護ポストセブン 2018年12月24日(https://www.news-postseven.com/kaigo/12559)

こちらは、年齢ごとにどれくらいの種類の薬を飲んでいるかということを示したグラフです。注意点としてはグラフの下にも書いているように、1人の人が1つの薬局で受け取る薬剤の割合を示したものということです。ですので、1. 薬を飲んでいない人は含まれていない 2. 他の薬局で薬をもらっている分は含まれていない (色々な医療機関受診をしている方がいることを考えると、この数字は実態よりも少ない数字ということになりますね) ということは注意が必要です。

たくさん薬を飲んでいる高齢者は珍しくない

さて、ここで見るポイントは、65歳以上の方の1割強、75歳以上の方の4人に1人程度が7種類以上の薬を処方されている、5~6種類以上となると、65歳以上で4人に1人、75歳以上ではほぼ半分という数になります。

さらに、これはあくまで種類数であって、実際は1種類の薬を朝昼晩と飲んでいることもあるでしょうし、1回2錠飲む場合もあると思います。そう考えると、高齢者の場合1日に10錠以上薬を飲んでいるということも、決して珍しくないということが分かります。

みなさん、このデータについて、どう思われますか?

若くて元気な方でしたら、そんなに薬を飲んでいるの!?と驚かれるかもしれませんが、高齢のご家族がいたり、持病をお持ちだったりすると、そんなもんでしょう、と納得されるかもしれません。

「ポリファーマシー」

こういう状況を専門用語では「ポリファーマシー」と言います。もちろん高齢になれば色々な病気に同時にかかってしまって、薬がたくさんいるという場合も多くあります。しかし、私はその全てが本当に必要な場合も多くありますが、実は不要な薬が含まれている場合もあると考えています。残念ながら、実際に外来をしていて、他院から来た患者さんなどでよく診ることがあります。

この原因は、やはり処方する医師の努力不足だと考えています。そう考えざるを得ない方々をたくさんこれまで診てきました。医師がしっかり一人一人の患者さんに向き合うという、当たり前のことをすれば解決できる問題ですが、残念ながら理想通りにはなりません。嘆くばかりでは状況はよくなりません。私が今回皆さんにお伝えしたいのは、この不要な薬を見極めるポイントです。

残念ながらこの薬はいらない薬だからやめましょう!と一元的にお伝えすることもできません。主治医が必要と思って処方をしているはずの薬を、みなさん一人一人をしらない私が、この薬は不要だからやめるべき、と断言することはできません。しかし、こういう薬は本当に続ける意味があるの?と思うものをざっくりお伝えすることはできます。

不要な薬をチェックするには

注意事項

注意して頂きたいのは、

①長期間、おおよその目安は3か月~半年以上にわたって出され続けている薬についての話であること

②私が言ったいたから、自己判断でやめるということは絶対に避けてください

ということです。

補足

①「短期間で出された薬の良し悪しを判断するのは、中途半端な知識では難しい」というのが正直なところです。これができればそもそも内科医や薬剤師の存在価値が揺らいでしまいます。私の存在価値もなくなります。ただし長期にわたって漫然と出されている薬については、みなさん一人一人がチェックできることがあるということを今日お伝えします。

②ですが、みなさんにご提案したいのは、この後のチェックリストをみて、自分の薬の中で、「この薬は本当に必要なのだろうか」、ということを考えて、チェックして頂き、次に外来に行った時に主治医に聞いてみるということです。残念ながら、薬を処方する医師は、ちゃんとこの人にはこの薬が必要だからと毎回考えて出してくれる医師ばかりではありません。自分のため、あるいは自分の大切な家族の健康のために飲んでいる薬ですので、ぜひ皆さんが、しっかりチェックして、主治医に継続が必要かどうか、相談してみましょう。

不要な薬のチェックリスト

では、お待たせしました、不要な薬のざっくりチェックポイントをお伝えします

  • ①今症状はあるか
  • ②病気がはっきりと診断されているか
  • ③薬の効果を感じているか・検査されているか
  • ④薬を減らす提案をされたことはあるか

この4つです。順に説明します。

チェックリストの使い方

①-③はセットで考えてください。

①今症状はありますか?ある場合は、③薬の効果を感じていますか? つまり飲み始めてから今に至るまで薬を飲み始めて症状がよくなったという実感はありますか?ある場合には主治医に状態を適宜相談しながら続けていきましょう。しかし、実感がない場合は、一度相談をしてみましょう。薬は仮に②病気の診断がされている場合でも、絶対に効くと保証されるものはありません。②診断がされていないが長期に出されている場合は、そもそも医師の見立てが誤っていた可能性もありますので、早めに伝えた方がよいでしょう。

また①で症状がない場合はどうでしょう。この場合で薬が必要な時というのは、②病気がはっきり診断されていて ③その薬の効果を感じている場合に限ります。症状がないのに薬を飲み続けるのは、医学的にその病気に対してこの薬は飲み続ける必要があると分かっているというものです。この場合は、たとえ本人に症状がなくても続けていくべきです。例を挙げると、そもそも症状の出ないタイプの病気の場合で、その代表的なものは高血圧や糖尿病・脂質異常症などですね。これは症状もなく、③の効果を肌で感じるということは難しいです。しかし、病気の診断がきっちりされてから治療が始められるものですし、肌で感じることはできなくても血液検査や毎日の血圧測定で効果を測ることはできます。

ではこのチェックポイントに該当せず、不要な薬の可能性があるものはどういうものか、ということも少し具体例を交えて説明をします。

不要な薬の具体例

例えば漫然と出されている胃薬、ビタミン剤などはこれらの例に該当することがよくあります。誤解のないように、全ての胃薬やビタミン剤が不要と言っているわけではありません。例えば胃酸が上がってくる逆流性食道炎の方は長期にわたる胃薬が必要なことがありますし、ビタミン不足による貧血などを起こす人には長期にビタミン剤が必要なこともあります。不要なのは、症状もない、診断もはっきりしない、効果もよくわからないこれらの薬です。よくある例が、ちょっと胃の調子が悪いことがあったため、主治医にその話を言ったところ胃薬が出されて、胃の調子はよくなったけれども、それ以来ずっと薬が出されているというものです。病気には長いタイプのものと短いタイプのものの二種類があります。ちょっと胃の調子が悪かったけど、1-2週間でよくなったという場合はたいてい短いタイプです。それでも、また胃の症状が起こるかもしれない、というの予防のために薬を飲み続けるのは不要ですし、長期にわたって胃薬を飲み続けることによる副作用というのもあります。胃薬って安全ってイメージがあると思いますが、薬は毒にもなります。これはどんな薬でもそうです。長期にわたって不要な薬を飲むことは百害あって一利ありません。さらに、薬の代謝機能が落ちていることなどの理由から、特に高齢者では薬の副作用が出やすいため、なおのこと注意が必要です。

そして最後、④薬を減らすことを提案されたことはありますか?というポイントについてです。たくさん薬を長期に飲んでいて、しかし薬を減らすことを一度も提案されたことがない場合、これはケースバイケースですが、もしかしたら漫然と出されているだけの可能性もあります。一度薬が多くて困っているということを主治医に伝えてください。もし自分が言いづらければご家族の誰かに言ってもらうのもよいと思います。その上でこの薬はこういう理由で必要なんだと説明を受ければ、安心して薬を飲むことができます。また最近は合剤という2種類の薬を1剤にまとめたものもあります。こういうことも活用してもらえるといいですよね。

ポリファーマシーの一部は、正直に言うと医師の努力が足りないことが原因です。医師がしっかり一人一人の患者さんに向き合うという、当たり前のことをすれば解決できる問題ですが、残念ながら理想通りにはなりません。みなさん一人一人が自分の飲んでいる薬にまずは興味を持っていくということが大切です今回のチェックポイントは考える一つのきっかけ、目安になればと思い考えました。

まとめ

私のこのサイトやPostPrimeでの活動を通じて、みなさんのヘルスリテラシーを高めることができればと考えています。ヘルスリテラシーとは、健康や病気の情報を入手し、理解して評価を行い、最終的に活用するための知識・能力のことです。私はみなさんのヘルスリテラシーを高めるために、一つ一つの健康や病気に関する事例を細かくお伝えするより、基本的な知識や考え方をお伝えすることにしています。

この記事のまとめです。

3か月から6か月以上出され続けている薬について

  • ①今症状はあるか
  • ②病気がはっきりと診断されているか
  • ③薬の効果を感じているか・検査されているか
  • ④薬を減らす提案をされたことはあるか

ということを目安に見直してみてください。もしこれらのチェックリストでNOがついた場合はもしかしたらその薬は不要な可能性があります。例外としては診断がしっかりされている場合などです。いっぱい薬を飲んでいるのに薬を減らす提案がされていない場合は、本当に必要な場合もありますが、残念ながら漫然と出されているだけの可能性もあります。

あなたの健康を守るのはもちろん主治医の務めですが、最後の最後に自分を守れるのは自分だけです。ちゃんと今の症状を伝えて、「今症状がないのにこの薬はまだ飲まないといけないんですか?」と聞いてみてください。

最後まで読んで下さり、ありがとうございました。


なお、厚生労働省がポリファーマシーの啓発活動をしております。今回の記事作成にも参考にさせて頂きましたので、リンクを貼っておきます。同じくヘルスリテラシーについても厚生労働省がまとめてくれていますので、参考のためにリンクを貼っておきます。

厚生労働省より・・・
ポリファーマシー:https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000606997.pdf
ヘルスリテラシー:https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/communication/c01/01.html

※当サイトでは病気や健康に関する基本的な知識・考え方をお伝えしておりますが、一人一人の健康・病気に合致した正しい情報でない場合もあります。健康状態にご不安がある場合などは、信頼のできる医療機関を受診ください。

画像元:PexelsによるPixabayからの画像

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